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薬液注入工法概論

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薬液の定義について定説はなく、一般に注入とは地盤の透水性の減少、地盤強化若しくは地盤の変形防止などを図る目的で、注入材を地盤の中に細い管を用いて圧入することを指し、これらの工法全般を注入工法と称している。この中で特に、注入材として薬液を用いる工法が薬液注入工法である。ここに薬液とは、一定の時間に固結させる目的で、主たる材料として化学材料を用いる注入材をいう。

注入工法は1802年にフランスで初めて実用化されたといわれているが、粘土と石灰を使用したものであった。その後、水ガラスと硬化剤を用いた注入が1886年にドイツのJeziorskyにより特許が出されるが、実際の施工はオランダの鉱山技師H.J.Joosten の1925年の特許によるもので、これが薬液注入としての初めての施工と考えられる。

国内で注入工法が用いられたのは1915年の長崎県松島炭坑でのセメント注入が最初である。その後1951年にはMI法(丸安・今岡)、1961年にはLW法(樋口)が実用化され、高分子系注入材料とともに用いられた。また、この当時の注入方式としては単管ロッド方式が主流であった。

しかし、1970年代には高分子系薬液による汚染事故が発生し、1974年に福岡県下にてアクリルアミド系薬液による人への健康被害を生じる事故が発生した。この事態を重大視した建設省は「薬液注入工法による建設工事の施工に関する暫定指針」の事務次官通達を発し、これ以降使用できる材料は水ガラス系の薬液で劇物またはフッ素化合物を含まないものに限られている。

使用できる薬液が水ガラス系のものに限られたことにより、ゲル化時間の設定など技術開発が行なわれ、先の暫定指針以降、注入方式は二重管方式が主流となった。また、同時期にフランスから二重管ダブルパッカー工法(ソレタンシュ工法)が導入され、上越新幹線トンネル工事などで盛んに用いられ現在に至っている。

最近の傾向としては、阪神大震災などにみられる液状化被害を受け、他の施工法では対処が難しい既設構造物直下への液状化対策工法として薬液注入工法が用いられている。

薬液注入工法の施工においては、注入対象の所定領域に均質な固結物を造成することが極めて重要であり、薬液の性質の一つである浸透性のみに依存していたのでは良好な改良固結物は造成できない。そのため注入方式における技術開発も、所定の領域内をいかに有効に固結させるかが目標となった。

過去に行われている研究機関の室内実験では、小規模な土槽内に人為的に作成された均質な砂地盤内において一点からの注入を行うと、浸透性に優れた薬液を用いた場合には、注入量の増加とともに浸透固結範囲が球状に広がる。しかし実施工においては、削孔時のボーリング孔と注入管との間に生じるクリアランスや地層構成による地盤の不均一さなどが障害となって均質な改良とならない。このような条件下で浸透性の高い長いゲル化薬液を注入したならば、地盤の間隙に注入されるべき薬液が抵抗の少ない箇所に集中的に流出する。この問題を解決する手段として、特殊な注入管及びモニターやゲル化時間の短い材料を用いた様々な注入方式が開発さた。

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